
はじめに
相続手続と聞くと、「書類を出す」「名義を変える」といった事務的な作業を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実際の相続で最も時間と労力を奪われるのは、「遺産分割協議」です。
そして、この遺産分割協議が必要になる相続の多くには、ある共通点があります。
それが「遺言書がない」という点です。
この記事では、遺産分割協議の流れを中心に、なぜ手続が長期化しやすいのか、そして最後に「遺言書があると何が変わるのか」について、実務の視点から解説します。
なぜ遺産分割協議が必要になるのか
相続が発生すると、法律上は相続人それぞれに「法定相続分」があります。
しかし、これは取得割合が示されているだけで、どの財産を誰が取得するかまでは決まっていません。
遺言書がない場合、
- 誰がどの財産を取得するのか
- どのような分け方にするのか
を、相続人全員で話し合って決める必要があります。
これが遺産分割協議です。
重要なのは、遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しないという点です。
一人でも欠けると協議は無効となり、前に進みません。
遺産分割協議の流れ【全体像】
遺産分割協議は、次のような流れで進みます。
- 相続人の確定
- 相続財産の調査・整理
- 相続人全員による話し合い
- 遺産分割協議書の作成
- 協議内容に基づく各種手続
以下、それぞれの段階を詳しく見ていきます。
① 相続人を確定する
最初に行うのが、相続人の確定です。
戸籍を確認し、法律上の相続人を正確に洗い出します。
この段階で、
- 前婚の子がいた
- 長年連絡を取っていない親族がいた
- 養子縁組の事実が判明した
といったケースが発覚することも少なくありません。
相続人が一人でも漏れている状態で行った遺産分割協議は、後から無効とされる可能性があります。
② 相続財産を調査・整理する
次に行うのが、相続財産の調査です。
- 預貯金
- 不動産
- 動産や権利関係
- 借入金や未払金などの負債
ここで重要なのは、把握している財産だけで話を進めないことです。
後から新たな財産や負債が見つかると、遺産分割協議をやり直す必要が生じ、再度全員の合意が必要になります。
そのため、遺産分割協議に入る前の段階で、「本当にこれで全てなのか」「見落としているものはないか」を一度立ち止まって確認することが重要です。
③ 相続人全員で話し合う(遺産分割協議)
相続人と相続財産が確定して、ようやく遺産分割協議が始まります。
この段階で多くの方が直面するのが、
- 相続人全員のスケジュール調整
- 考え方や価値観の違い
- 感情的な対立や遠慮
明確な反対者がいなくても、「もう少し考えたい」「今は忙しい」といった理由で、協議が止まってしまうことは珍しくありません。
④ 遺産分割協議書を作成する
話し合いで合意した内容は、必ず書面に残します。
これが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書には、
- 相続人全員の署名
- 実印での押印
が必要となり、記載内容にも正確性が求められます。
表現や記載方法に不備があると、その後の預金の払戻手続等の際に差し戻され、修正を余儀なくされるケースもあります。
⑤ なぜ遺産分割協議は長引くのか
遺産分割協議が長期化しやすい理由は、次の点に集約されます。
- 手続が段階的で多い
- 関係者が複数いる
- 全員一致が必要
- 感情や過去の関係が影響する
さらに、相続は「今すぐやらなければならない理由」が見えにくく、後回しにされやすい点も、長期化の一因です。
遺言書があると、何が変わるのか
ここで、遺言書がある場合を考えてみましょう。
遺言書がある相続では、原則として遺産分割協議は不要になります。
あらかじめ「誰に何を渡すか」が示されているため、相続人全員で話し合う必要がなくなるからです。
その結果、
- 協議の場を設ける必要がない
- 全員の署名・押印を集める必要がない
- 手続が大幅に簡略化される
といった違いが生まれます。
遺言書は、争いを防ぐためだけでなく、相続手続きを短く、シンプルにするための道具としての役割も非常に大きいと言えます。
まとめ|遺産分割協議を知って、どう感じましたか
遺産分割協議は、遺言書がない相続では避けて通れない手続です。
その流れは長く、関係者も多く、想像以上に時間と労力がかかります。
多くの方が、実際に手続きを進める中で、「こんなに話し合いが必要だとは思わなかった」「思っていたよりも、なかなか前に進まない」と感じています。
一方で、遺言書がある場合には、こうした遺産分割協議そのものを省略できるケースもあります。
遺言書は争いを防ぐためだけのものではなく、相続手続きをできるだけ短く、シンプルに終わらせるための準備とも言えるでしょう。
相続は、起きてから考えると選択肢が限られます。
しかし、まだ何も起きていない今であれば、準備することができます。
この記事が、将来の相続について一度立ち止まって考えるきっかけになれば幸いです。
また、我々行政書士にご相談いただければ、丁寧かつ慎重にヒアリングを行った上で、手厚くサポートさせていただきます!
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- はなまる行政書士事務所 代表
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