
はじめに
中小企業庁が2025年4月に開始した「中小企業新事業進出補助金」は、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出を目指す中小企業等を支援する制度です。
本記事では、特に「新事業進出要件」を中心に、申請に必要な要件や該当・非該当の具体例、スケジュール、審査上の留意点について詳しく解説します。
それ以外の内容についても過去の記事で解説していますので、こちらをご参照ください。
新事業進出補助金の概要
この補助金は、中小企業が新たな市場や高付加価値事業への進出を図る際の設備投資やプロモーション活動を支援するものです。
補助率は1/2で、補助上限額は従業員数に応じて最大9,000万円に達します。
補助対象経費には、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費などが含まれ、非常に幅広い使途に対応しています。
新事業進出補助金の要件詳細
申請にあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
それぞれの要件には、単なる形式的な条件だけでなく、実行可能性や将来性を明確にする工夫が求められます。
1.新事業進出要件
●新規性:既存事業とは異なる製品・サービスで、これまでリーチしていなかった顧客層(市場)に挑戦すること。
➡自社の「従来型ビジネス」との違いが、製品内容・提供手段・販売地域・顧客層のいずれかで明確に言語化できているかが審査の鍵です。
●売上・付加価値目標:3~5年後に新事業の売上高が応募時の総売上高の10%以上、または総付加価値額の15%以上を占める見込みがあること。
➡市場調査や競合分析に基づいた数値根拠が不可欠。根拠なき数字は審査で不利です。
2.付加価値額要件
補助事業終了後3~5年間で、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年平均4%以上増加させる計画を策定。
➡単年度の黒字計画ではなく、中長期視点での持続的な利益構造を示す必要があります。
3.賃上げ要件
1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の過去5年の年平均成長率以上、または2.5%以上であること。
➡利益計画と連動しており、無理なく実現可能な形であることを数字で証明する必要があります。
4.事業場内最低賃金要件
補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金より30円以上高く設定すること。
➡すでに地域最低賃金に近い水準で雇用している企業は達成しやすく、それを強調できます。
5.ワークライフバランス要件
補助事業終了時までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表すること。
➡「両立支援のひろば」に計画を掲載する必要があります。掲載には1か月程度かかることもあるため、早めの準備が必要です。
6.金融機関要件(※該当する場合)
金融機関等からの資金提供がある場合は、計画内容に対してその機関の確認が必要です。
➡計画の信用力や資金調達力を補完する要素として活用できます。可能であれば、前向きなコメントを得られるよう準備しましょう。
7.賃上げ特例要件(※該当する場合)
補助事業期間中に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させ、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げる計画を立てること。
➡達成難易度が高いため、対象とする場合は強い財務基盤または生産性向上施策の説明が求められます。
新事業進出要件に該当する例・しない例
事業が「新事業進出」として認められるかどうかは、製品・サービスの内容だけでなく、それが向かう市場や顧客層が新しいものであるかが重要な判断基準となります。
以下に、制度説明資料に基づいた該当例・非該当例をそれぞれ2つずつ紹介し、なぜ該当するのか・しないのかを解説します。
スケジュールと準備の進め方
令和6年度の公募スケジュール(第1回)は以下の通りです。
●公募開始:2025年4月22日(火)
申請には「GビズIDプライム」が必須です。
アカウント取得には1〜2週間以上かかることがあるため、申請前に必ず取得を済ませておくことが重要です。
また、交付申請書のドラフト作成は公募要領公開後すぐに着手できると◎。
●締切:2025年7月10日(木)18:00
電子申請の不備は修正対応が間に合わないこともあるため、1週間以上前に提出するのが理想です。
GビズIDログインやファイル形式の確認も早めに実施してください。
●採択発表:2025年9月頃予定
採択までの約2か月間に、設備発注や人材採用などの事前契約は原則NGです。
交付決定通知が出るまでは「契約・支払・着工禁止」である点に注意が必要です。
最後に
今回は、新事業進出補助金の「新事業進出要件」を中心に解説させていただきました。
審査では、「新規性」と「実現可能性」が重要視されるほか、「なぜこの事業が自社でなければならないのか」というストーリー性が求められます。
専門家との連携や金融機関の確認書類も採択率向上に寄与するため、早めの準備が肝要です。
今回やこれまでの記事をお読みいただき、補助金を利用してみたいけど、「内容がよくわからない」、「補助金の申請や報告に充てる時間がない」という方は補助金申請の専門家である行政書士が、申請から補助金の受領に至るまで手厚くサポートさせていただきますので、この機会にどうぞご検討ください!
投稿者プロフィール

- はなまる行政書士事務所 代表
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