
はじめに
小規模事業者持続化補助金は「採択されたら終わり」ではありません。
実は、補助金を実際に受け取るまでに行う「交付申請」や「実績報告」で多くの事業者がつまずいています。
ほんの小さなミスでも、補助金が減額されたり支給されなかったりするケースもあります。
この記事では、採択後の手続きで注意すべき3つの重要ポイントと、補助金を確実に受け取るための対策をわかりやすく解説します。
なお、補助金の申請について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ポイント① 申請時に記載していない経費は原則認められない
補助金で認められる経費は、申請時に事業計画書で明示した内容だけです。
申請書に記載していない経費を後から追加したり、使い道を変更したりすると、原則として補助対象外となります。
これは、補助金が「自由に使えるお金」ではなく、「申請内容を実行するための公費」であるためです。
たとえば「ホームページ制作費」として申請していたのに、途中で「チラシ印刷費」に変更する場合、変更申請なしでは不認定になる可能性があります。
また、採択された時点ではまだ「交付決定前」です。
交付申請時に提出する見積書や契約書の内容が審査され、不備があれば修正指示を受けます。
- 採択=補助金確定ではない
- 計画外の経費や変更は原則として補助対象外
- 申請時の計画は「実行できる範囲」で立てること
ポイント➁ 交付決定前の支出は対象外/支払い方法にも要注意
最も多い失敗が、「交付決定前に発注してしまった」ケースです。
補助対象経費は交付決定日以降に発注・契約・支払を行ったものに限ると記載されています。
交付決定前に注文した設備や広告費などは、たとえ支払い済みでも対象外です。
また、支払い方法にも細かなルールがあります。
原則は銀行振込です。
現金払い・小切手・手形・相殺などは認められません。
クレジットカード払いも条件付きで、引落日が事業実施期間内であることが必要です。
引落しが期間外になると対象外となるため、注意が必要です。
- 交付決定前の契約・発注・支払いは全て対象外
- 支払いは銀行振込が原則(証拠が残る方法)
- クレジットカードは引落日を要確認
これらを守らないと、経費が「補助対象外」とされ、減額や全額不交付になることがあります。
ポイント③ 証拠書類の保存が最重要
補助金を受け取るには、何と言っても証拠書類が最重要です。
どれだけ事業をしっかり行っていても、「証拠」が不十分なら支給は認められません。
手引きでは、経費ごとに次の書類を整えるよう求めています。
- 見積書(原則2者以上)
- 発注書または契約書
- 納品書・検収書
- 請求書
- 領収書または振込明細書
これらが「見積 → 発注 → 納品 → 請求 → 支払い」と一連の流れでつながっていなければ、経費が認められません。
宛名や日付、金額が一致していない場合も対象外となることがあります。
また、税込100万円を超える支出は「複数見積」が必須。
中古品の購入も例外ではありません。
補助事業の帳簿は、通常の経理と混在させず、「補助事業専用」として区分しておくことが求められます。
書類や帳簿は事業終了後5年間保存する義務もあります。
- 書類の整合性(宛名・金額・日付)は必ず確認
- 証拠の流れをファイルやクラウドで一元管理
- 保存義務は原則5年間
補足:実績報告・状況報告とは
【●実績報告】
補助事業が終了したら、すべての経費の証拠書類をまとめ、実績報告書を提出します。
提出期限は「事業終了日から30日以内」または「事務局が定める最終期限(2026年8月10日)」のいずれか早い日です。
遅れると、交付決定が取り消され、補助金が支給されません。
- 実績報告書に添付する証拠書類は、発注・支払・納品のすべてを網羅。
- 不備があると修正依頼が入り、入金が遅れる。
- 事業の効果(売上増、顧客数増など)も併せて報告する。
その後に補助金を請求するため「精算払請求書」を提出し、初めて補助金が振り込まれます。
この精算払請求書の提出を忘れると補助金が支払われません。
【●状況報告】
補助金を受け取ったあとも、事務局に対して状況報告の提出義務があります。
事業効果(売上・来客数・賃上げなど)や補助事業の継続状況を報告するもので、補助金交付後1年経過時点に求められます。
提出しないと、次回以降の申請で不利になったり、指導対象となる場合があります。
- 状況報告は「補助事業が継続的に効果を出しているか」の確認。
- 特例要件(賃上げ・インボイス対応など)を満たしているかもチェックされる。
- 報告義務を怠ると、補助金返還や次回不利扱いの可能性も。
よくあるトラブルと減額・不交付の原因
採択後に起こりがちなトラブルを整理します。該当しそうな項目があれば、早めに対処を。
- 交付申請を出し忘れた/不備を放置:採択後に交付申請を行わないと交付決定されず、補助金は支払われません。
- 実績報告を期限内に提出しなかった:事業終了後30日以内(または期限内)に提出しなければ、交付決定が取り消される場合があります。
- 証拠書類の不整合:金額や日付のズレ、宛名の誤りなどで経費が不認定になるケースが多い。
- 効果報告を怠った:補助金交付後に行う「効果報告書」の未提出は、次回申請で不利になります。
補助金を確実に受け取るためのチェックリスト
補助金採択から受領まで、最低限チェックしていただきたい内容は、以下の5項目になります。
- 交付決定通知を受け取ってから契約・発注しているか
- 支払いは銀行振込で行っているか
- 書類の宛名・日付・金額が一致しているか
- 実績報告の提出期限を確認したか
※事業終了後30日以内もしくは事務局が定める最終期限のいずれか早い日 - 帳簿・証拠書類を5年間保存できる体制か
まとめ 採択後の「正確な対応」が重要
小規模事業者持続化補助金は、採択されるまでが前半戦。
後半戦は、「交付申請・経費処理・実績報告」を正確に進めなければなりません。
上述のとおり、手続きや証拠書類に不備があれば、補助金は減額・不交付の可能性があります。
しかし、ルールを理解し、丁寧に進めることができれば、確実に補助金を受け取ることができます。
公的支援を味方につけて、次のステージへ進むための一歩を確実に踏み出しましょう。
最後に
今回は小規模事業者持続化補助金の採択後の手続について解説してきました。
書類や確認確認が多く、時には心が折れそうになることもありますが、ここを乗り越れば、自分の事業を形にしていくことができます。一歩ずつ頑張りましょう。
また、当事務所では、交付申請・実績報告・状況報告の申請サポートも行っております。「補助金採択までは自らで対応できたけれど、交付・支払までのプロセスが不安」等といった事業者様にも対応しております。
今回やこれまでの記事をお読みいただき、補助金を利用してみたいけど、「内容がよくわからない」、「補助金の申請や報告に充てる時間がない」という方は補助金申請の専門家である行政書士が、申請から補助金の受領に至るまで手厚くサポートさせていただきますので、この機会にどうぞご検討ください!
投稿者プロフィール

- はなまる行政書士事務所 代表
- 補助金の申請は、はなまる行政書士事務所にお任せください。補助金申請サポート200件以上、実績があります。相談は無料です、お気軽にご相談ください!
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