はじめに

不動産業を始めようとする方にとって、最初に立ちはだかるのが「宅地建物取引業免許(宅建業免許)」の取得です。
宅建業免許は、宅地や建物の売買や賃貸を「業」として行う場合に必ず必要となり、無免許で営業した場合は宅建業法違反として厳しい処分を受けることになります。
宅建業免許には「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」の2種類がありますが、ほとんどの中小事業者や個人事業主が対象となるのは知事免許です。
今回は知事免許を中心に、制度の仕組みから申請方法、要件、費用、そして免許取得後の注意点まで、詳しく解説します。

宅建業免許とは?

宅建業免許とは、宅地建物取引業法に基づき、不動産取引を「業」として行う際に必要となる免許のことです。
ここでいう「業」とは、反復継続して一般消費者を相手に利益を得ること を意味します。
例えば、知人や顧客から依頼を受けて仲介を行い、手数料を受け取る場合は「業」とみなされます。
また、「継続して行う意思」があると認められる場合は、たった1度の行為でも業とみなされます。

宅建業の対象となる行為は大きく分けて以下の4つです。

➀売買

他人の所有する宅地や建物を売買するために仲介・斡旋する行為。
他人の依頼を受けて売買を仲介する場合は免許が必要です。

➁交換

土地や建物を現金ではなく、他人の不動産と交換する取引。
例えば「自分の土地と相手の土地を交換して双方が利用価値を高める」といったケースで、これを仲介するのも宅建業に該当します。

③代理

依頼者から権限を与えられ、本人に代わって契約を締結する行為。
所有者に代わって契約書に署名押印する場合などが典型です。

④媒介

当事者同士を引き合わせて契約を成立させる行為。
不動産取引の中心となる「媒介」は宅建業の根幹業務であり、これを行うためには必ず免許が必要です。

大臣免許と知事免許の違い

宅建業免許には以下の2種類があります。

国土交通大臣免許

複数の都道府県に事務所を設置して営業する場合に必要。

都道府県知事免許

1つの都道府県内にのみ事務所を設置して営業する場合に必要。
中小事業者や個人事業主の場合、事務所は1つの都道府県内に限られることがほとんどです。
したがって、まずは 知事免許 を取得すれば十分です。

知事免許の申請の流れ

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【申請先】
→本店所在地を管轄する 都道府県知事

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【提出書類(代表例)】
・宅建業免許申請書
・役員一覧表
・専任宅建士の資格証明(登録証や宅建士証)
・財務諸表(法人)または確定申告書(個人事業主)
・事務所の地図・写真 等

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【審査期間】
→標準処理期間は1か月半程度(北海道知事免許の場合)

知事免許の要件

宅建業免許は、単に書類を揃えれば良いわけではありません。以下の要件を満たす必要があります。

➀欠格事由に該当しないこと

免許申請者(法人の場合は役員全員)が次に該当してはいけません。
・破産して復権を得ていない
・禁錮以上の刑を受け、執行終了から5年を経過していない
・宅建業法違反で免許取消を受け、5年を経過していない
・暴力団関係者
・心身の故障により業務を適正に遂行できない

➁専任の宅地建物取引士の設置

事務所ごとに1名以上の宅建士が必要です。
宅建士は重要事項説明や契約書の記名押印を行うため不可欠な存在です。
専任とは「常勤かつ専属」であることを意味し、他社との兼務は不可となっています。

③財産的要件

営業保証金の供託、または保証協会への加入が必要です。
実務上はほとんどの事業者が保証協会に加入しています。
保証協会に加入する場合、供託金1000万円を立て替えてもらえる代わりに、入会金や年会費が発生します。

④事務所の独立性

社会通念上「事務所」として機能していることが必要です。
自宅の一室を事務所とする場合も可能ですが、来客対応や電話・机など最低限の機能が必要になります。
形だけの「看板事務所」では不可とされるケースもあります。

⑤誠実性

法令遵守の姿勢や過去の業務歴も考慮して判断されることになります。
違反歴がある場合は免許が下りないこともあります。

知事免許にかかる費用

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【登録免許税】
33,000円(収入印紙で納付)

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【保証協会加入費用】
保証協会に加入する場合、概ね以下の費用が必要です。
入会金:30~40万円程度(地域による)
弁済業務保証金分担金:60万円(1事務所あたり)
年会費:5~10万円程度(地域による)
実質的にはこの保証協会への加入費用が最大のハードルになります。

有効期限と更新手続き

●有効期間は 5年間
●更新申請は 満了日の90日前〜30日前まで に行う必要があります。
※更新を忘れて失効すると再度新規申請が必要になるため注意が必要です。

実務上の注意点(免許取得後)

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免許を取得しても、以下の義務を怠ると行政処分の対象になります。
・免許番号の明示(名刺・ホームページ・広告に必須)
・標識の掲示(事務所・案内所に設置)
・契約時の重要事項説明は必ず宅建士が行う
・取引士証の適切な管理
・役員変更や宅建士の異動は速やかに届出

最後に

宅建業免許の取得は、不動産業を始めるための最初のステップです。
不動産業は人々の暮らしや資産に直結する責任ある事業です。
制度を正しく理解し、要件を満たしたうえでスムーズに免許を取得し、信頼される事業者を目指しましょう。
そこで、許認可等の専門家である行政書士ご相談いただければ、丁寧かつ慎重にヒアリングを行った上で、申請から許可取得まで手厚くサポートさせていただきます!
なお、当事務所では、開業に役立つ補助金の活用についてもご提案させていただきます!(補助金についてはこちらをご参照ください。)
ぜひ、ご検討の際は、お気軽にご相談ください!

Information

はなまる行政書士事務所【料金体系】
宅建業許可申請
120,000円~

投稿者プロフィール

はなまる行政書士事務所 本間隆史
はなまる行政書士事務所 本間隆史はなまる行政書士事務所 代表
補助金の申請は、はなまる行政書士事務所にお任せください。補助金申請サポート200件以上、実績があります。相談は無料です、お気軽にご相談ください!

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