
一般貸切旅客自動車運送事業(貸切バス事業)は、許可が下りた瞬間から営業できるわけではありません。
実務上は、「許可後から運輸開始届まで」の期間にこそ、多くの準備と行政手続きが集中します。
この段階での対応を誤ると、事業開始が遅れるだけでなく、是正指導や追加対応を求められることもあります。
本記事では、貸切バス許可後に必要となる手続きを、実務の流れに沿って詳しく解説します。
※申請から許可までの解説については、以下をご参照ください。
貸切バス事業の新規許可ガイド~安全・適正を支える要件とは~
はじめに 旅行会社の団体ツアーや学校行事、高齢者の送迎など、さまざまな場面で活躍する「貸切バス」。この事業を始めるためには、国土交通省から「一般貸切旅客自動車運送事業」の許可を受ける必要があります。 本記事では、許可を取 […]
①登録免許税領収証書届出
許可後、最初に行うべき手続きが登録免許税領収証書届出です。
- 提出期限:許可日から30日以内
- 登録免許税額:90,000円
この手続きは「形式的」と思われがちですが、期限管理が非常に重要です。
期限を過ぎた場合、運輸支局から指導を受けることがあり、その後の手続き全体に影響が出る可能性もあります。
許可通知書が届いたら、他の準備に優先して対応することを強くおすすめします。
➁運賃・料金設定届出
貸切バス事業では、運賃・料金を自由に設定できるわけではなく、国の基準を踏まえた設定が必要です。
ここで設定した運賃・料金は、運輸開始後に営業所へ掲示する内容とも連動します。
事業計画との整合性を確認しながら慎重に設定する必要がありますし、後々の運営で支障をきたすことのないよう注意が必要です。
➂整備管理者選任届出
車両の安全性を確保するため、貸切バス事業では整備管理者の選任が義務付けられています。
整備管理者は、日常点検・定期点検の管理や、整備記録の保存などを担う重要な役割です。
実際の運用体制と届出内容が一致していないと、運輸開始後に問題となるため注意が必要です。
➃運行管理者選任届出
運行管理者は、貸切バス事業の安全運行を支える中心的存在です。
点呼の実施、運行指示、労務管理との連携など、業務範囲は広く、単なる名義貸しは認められません。
国家資格者を選任し、実態のある体制を整えた上で届出を行います。
➄運行管理補助者選任届出
営業規模や体制に応じて、運行管理補助者の選任が求められる場合があります。
補助者はあくまで運行管理者を補佐する立場ですが、点呼補助など実務に深く関与します。
補助者についても、役割と責任を明確にした上で選任届出を行う必要があります。
➅安全管理規程設定届出
安全管理規程は、貸切バス事業における安全対策の基本方針を定めるものです。
事故防止、教育体制、管理方法などを体系的に整理し、社内で共有されていることが求められます。
単に書類を作成するだけでは不十分で、実際に運用される内容であることが重要です。
⑦安全統括管理者選任届出
安全統括管理者は、事業全体の安全を最終的に統括する責任者です。
多くの場合、代表者が兼任しますが、単なる肩書きではなく、事故防止に主体的に関与する姿勢が求められます。
選任後は、速やかに届出を行います。
⑧一般貸切旅客自動車運送事業に係る必要帳票類の確認
ここが、許可後手続きの中で最も重要なステップです。
この確認手続きは、運輸を開始するにあたり、事業を開始できる実態が整っているかを行政が確認するためのものです。
以下の区分ごとに帳票が整備されているかを確認し、最終的に代表者が内容を確認の上、署名・押印して提出します。
- 会計関係(収支管理体制、帳簿類等)
- 労務管理関係(雇用契約、勤務管理等)
- 整備管理関係(点検記録、整備体制等)
- 運行管理関係(点呼記録、運行指示体制等)
- 総務関係(社内規程、管理体制等)
この確認が完了しなければ、次の車両登録には進むことができません。
⑨事業用自動車の登録
重要なポイントとして、事業用自動車の登録は、上記の確認手続きが完了してからでなければ行えません。
事業体制が整っていない状態での登録は認められず、順序を誤ると手戻りが発生します。
帳票・人員・管理体制が揃って初めて次の手続きに進める仕組みになっています。
この順序を理解せずに進めてしまうと、再確認や追加提出を求められ、結果として運輸開始が大幅に遅れるケースも少なくありません。
⑩運輸開始届
すべての準備が整った後、最後に提出するのが運輸開始届です。
運輸開始後は遅滞なく届出を行う必要があります。
- 事業用自動車
- 事業施設関係
- 営業所内に設置されたインターネット接続パソコン
- 運賃および約款
- 自動車任意保険加入証明書の写し
- 自動車車検証の写し
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書
- 営業所設置パソコンのメールアドレスを記載した書類
まとめ|貸切バス事業は「許可後」からが本当のスタート
貸切バス事業は、許可取得がゴールではありません。
許可後から運輸開始届までの対応こそが、事業の安全性と継続性を左右します。
一つひとつの手続きを確実に進めることで、安心して事業をスタートすることができます。
立ち上げ後は、観光の交通手段の柱として、国土交通省や経産省より様々な補助金が出ます。
例:令和7年度 交通DX・GXによる経営改善支援事業補助金等(※令和7年12月22日時点では公募終了)
このような点についても許認可と補助金の専門家である行政書士ご相談いただければ、丁寧かつ慎重にヒアリングを行った上で、申請から許可取得まで手厚くサポートさせていただきます!
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